2026年または2027年から大企業に課せられる制度
2026年または2027年から日本の一定以上の大企業に課せられる制度として、以下のようなものが議論・計画されています。それぞれ、脱炭素化や持続可能性の推進を目的としています。
1. 排出量取引制度の本格導入(2026年度~)
- 内容:
- GX-ETS(グリーントランスフォーメーション排出量取引制度)の本格導入。
- 大企業を中心に、CO2排出量の削減目標や上限(キャップ)を設定。
- 上限を超える排出量については、他社から排出枠を購入する必要があります。
- 削減目標を超える削減を達成した場合は、余剰排出枠を取引可能。
- 対象:
- 一定規模以上の温室効果ガス排出を行う事業者が対象。
- 主にエネルギー集約型産業(製造業、鉄鋼業、化学業など)を想定。
- 目的:
- 排出量削減を市場原理に基づいて促進し、脱炭素化を加速。
2. サステナビリティ関連の情報開示義務(2025年度~段階的開始)
- 内容:
- ISSB(国際サステナビリティ基準審議会)の基準に基づく開示が義務化される予定。
- 大企業は、サステナビリティに関するリスクと機会、特に気候関連の財務影響を明確に開示する必要がある。
- TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)の推奨事項と整合性を持つ基準が採用される。
- 対象:
- 上場企業や一定規模以上の非上場企業。
- 目的:
- 投資家やステークホルダーに対する透明性の向上。
- サステナビリティ投資の促進。
3. 化石燃料への賦課金(2028年度~)
- 内容:
- 化石燃料(石炭、石油、ガス)の使用に伴うCO2排出量に応じた新たな賦課金を導入。
- 当初は低い税率で開始し、段階的に引き上げる方式。
- 対象:
- 化石燃料の輸入事業者や供給事業者が直接対象ですが、エネルギー価格の上昇を通じて広く企業全体に影響。
- 目的:
- 化石燃料使用の削減を促進し、再生可能エネルギーへの移行を加速。
4. その他のGX推進関連施策
- 有償オークションの導入(2033年度~):
- 発電事業者に対して、排出量に応じた有償排出枠を購入させる仕組み。
- GX経済移行債(2023年以降開始済み):
- 大企業に対する脱炭素投資を促進するための資金調達支援。
結論
2026年から2027年にかけて、日本の大企業には特に排出量取引制度やサステナビリティ関連情報開示の義務化が課されることが予定されています。これらの制度に対応するため、企業は早期に脱炭素化への取り組みを強化し、情報開示体制を整備することが求められます。