ESG(環境、社会、ガバナンス)活動とは?
日本では、企業に対するESG(環境、社会、ガバナンス)活動そのものが法律で直接義務付けられているわけではありません。しかし、いくつかの法規制やガイドライン、投資家の期待により、企業は事実上ESG活動を強化する必要性が高まっています。
法的・規制的背景
- サステナビリティ報告書の義務化
上場企業は、日本の金融商品取引法や取引所の規則に基づき、一定の非財務情報(特に環境や社会に関する情報)を開示する必要があります。特に、2023年からは東京証券取引所の「プライム市場」に上場する企業が気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)または同等の枠組みに基づき、気候関連情報を開示することが求められています。 - 環境関連法規
例えば、「地球温暖化対策推進法」や「廃棄物処理法」などにより、企業には環境負荷の軽減を目指した取り組みが義務付けられています。これらはESGの「E(環境)」に関連します。 - 労働法規・ダイバーシティ推進
日本では「女性活躍推進法」や「障害者雇用促進法」など、ESGの「S(社会)」に関する取り組みが一部義務化されています。これにより、ダイバーシティや働き方改革が促進されています。 - コーポレートガバナンス・コード
東京証券取引所が定める「コーポレートガバナンス・コード」では、ESG要素を含む中長期的な価値創造を目的としたガバナンスの強化が求められています。これにより、「G(ガバナンス)」の取り組みが促進されています。
義務化ではなく圧力の高まり
- 投資家の期待
世界的にESG投資が増加しており、機関投資家や株主からESG情報の開示や取り組みが強く求められています。 - 国際的な枠組みとの整合性
日本政府や企業は、国際基準(TCFD、GRI、ISSBなど)に対応することで、グローバル競争力を維持しようとしています。
今後の動向
政府や規制当局がESG活動の重要性をますます強調しているため、特に環境や社会に関する活動の開示義務がさらに厳格化される可能性があります。
したがって、現時点では直接的な義務はないものの、事実上ESG活動は日本企業にとって避けられない課題となっています。